寒行

2013.01.31 (Thu)








今年も私は

その響きが近づいてくるのを

聞き逃さなかった。





その音が近づいてきたら

私の交感神経が

瞬間に反応するのだ




アドレナリンだか

ドーパミンだかわからないが

私を瞬間に動かす力を持っている。




一気に

二階へ財布を取りに走り、

玄関を出た。






何故だかわからない。



好きなのだ。



好きなのだ。



ただ、好きなのだ。











日暮れ直後の暗い道。



真っ黒な袈裟に身を包み

丸い笠を被った

何十人もの僧が

提灯の明かりを揺らしながら

等間隔に歩く。





必ず、前方から我が家に近づいてきて

我が家の前で右折する。

数十分後、もう一度

我が家の裏手に近づいてくる。




こだまするように

輪唱するように

重なって聴こえては消えてゆき

また重なるように聴こえてくる

朗々とした 声明の響き。




僧が手元で鳴らす 小さな鐘の音。


藁草履の音。


衣ずれの音。


夕方の交差点の雑踏。




それらすべての音が

大寒の夕刻の

張りつめた冷たい空気に溶けて


私の五感全てに

何かを問いかける

深い響きとなる。




その響きの意味を知りたくて、

私はいつも

志を握りしめ

交差点で僧を迎える。







この寒行が終わると、

春が来る。
















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コメント
記事のタイトルも見ずに、文章を読み進めていた私。
2階にお財布をとりにいって、
『好きなのだ』という辺りまで、
焼き芋屋さんが来たのかと、すっかり思い込んでいました。
こんなにステキな文章なのに、
おっちょこちょい・・・ごめんなさい。

寒行が通るのですね。
本当にステキ。
ああ、写真に撮りたいです。
(撮っちゃいけないのかな?)
雪が降っていたらなお最高です。
鐘の音。情緒ありますよね。
静かで凛とした様子がよく伝わりました。
空花 | 2013.02.01 21:18 | 編集
訪問ありがとう。そして
コメントありがとうございます。
焼き芋屋さん、金魚屋さん、ちょっとそれに
似た気持ちかもしれませんね。
自分でも感心するくらい、
この「寒行」の響きに
私は毎年とても敏感です(^^♪

写真を取りたい気持ちもありますが、
自分の中にカメラワークがあって、
そのシーンの中に自分がいて
僧侶と向き合って両手を合わせて
お互いにお辞儀をしている
その自分に
ちょっと酔っている気持ちもあります(~o~)
くうかいのかあちゃん | 2013.02.01 22:02 | 編集
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