希望の鐘

2014.02.22 (Sat)





治療最終日

私は
イアフォンを耳に入れて 
バス停まで歩いた。


玄関先で選んだ曲は
今話題の
「新垣さん」作曲のシンフォニー。


何となく
JPOPじゃないしJAZZでもない
そんな気分
というだけの理由で
iTunesが勝手に分類した
≪クラシック≫のボタンを押したら
この曲から始まった。







バスが高速を走る間流れていたのは
第一楽章~第二楽章

不安が連続して襲ってくるような
沈鬱なコードの連続。

市内に入って第三楽章が始まり
私は路面電車に乗り換えた。

病院前で電車をおり、
正面玄関に向う。

いつの間にか梅の蕾が膨らんでいた。


総合受付と薬局の前を通り
外科を通りぬけ
放射線科に向かう。

「今日が最後。」
私は、小さく深呼吸をして
胸を張った。


放射線科への通路にある
二つの自動ドアが
私のために
連続して開いた
その時だ。


ゴーン、ゴーン







「HIROSHIMA」と名付けられ
哀しい運命を背負って迷走する
このシンフォニーの
もっとも象徴的な最後の部分に差し掛かり
鐘が鳴り始めたのだ。


何も計算しなかった。
家を出るとき
偶然この曲が始まって
タイミングよく終わろうとしていた。


二重の自動ドアが
まるで天岩戸のように開き
鐘が聞こえてきて
ドアの向こうから
光が差してきたように思えた。


作ったのが誰でも
タイトルが何でも
他人が酷評しても
そんなことはどうでもいい。


全てはタイミング。


聴く側の人間が
その時、何を思い
何を感じるかじゃないか。


そして私は
間違いなく
希望を感じた。













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